「動画編集の案件って、実際いくらもらえるの?」「この単価、安すぎないか不安…」——副業で動画編集を始めた方が必ず一度はぶつかる悩みが、案件の相場です。相場感がないまま提案すると、安く買い叩かれたり、逆に高すぎて受注できなかったりします。
この記事では、現役の副業編集者の視点で、動画の種類別・スキル別の単価の目安をまとめました。あわせて、低単価から抜け出して収入を伸ばすための「単価アップの考え方」も具体的に解説します。相場という物差しを持てば、案件を選ぶ目も、価格交渉の自信も一気に変わります。
この記事を書いた人
会社員をしながら副業で月10万円以上を稼ぐ、現役フリーランスの動画編集者です。実際にクラウドソーシングやSNS経由で案件を受注してきた経験をもとに、リアルな相場と単価アップのコツをお伝えします。
動画編集の案件相場は「種類 × スキル」で決まる
まず前提として、動画編集の単価に「1本いくら」という決まった正解はありません。単価は主に、次の2つの要素の掛け算で決まります。
- 動画の種類・工数:カットだけなのか、テロップ・BGM・アニメーションまで入れるのか
- 編集者のスキル・実績:未経験なのか、継続受注できるレベルなのか
同じ「YouTube動画1本」でも、5分のカット中心なら数千円、10分超でテロップ・効果音・サムネイルまで含むなら1万円以上になることも珍しくありません。まずは種類ごとのおおよその目安をつかみましょう。
単価に影響する「隠れた要素」を知っておく
種類とスキル以外にも、実際の単価は次のような条件で上下します。提案や見積もりのときに、これらを意識できるかどうかで印象が変わります。
- 動画の尺(長さ):長尺ほどカットや整音の作業量が増え、単価も上がります。同じ編集内容でも5分と20分では手間がまったく違います。
- 納期の短さ:「明日までに」といった特急案件は、その分の割増を提示できる余地があります。
- 修正回数の上限:無制限の修正は消耗のもとです。「修正2回まで」など条件を決めておくと、実質的な時間単価が守られます。
- 素材の状態:撮影素材が整理されているか、指示書が明確かでも工数は変わります。丸投げ案件ほど、単価は高めに設定すべきです。
これらを踏まえずに「1本いくら」だけで受けてしまうと、想定より作業量が膨らんで時給がガクッと下がる、という失敗につながります。
【一覧表】動画の種類別・単価相場の目安
以下は、個人の副業編集者がクラウドソーシングやSNS経由で受注する場合の、1本あたりの単価の目安です。あくまでレンジ(幅)としてご覧ください。
| 案件の種類 | 単価の目安(1本) | 主な作業内容 |
|---|---|---|
| 切り抜き動画 | 約1,000〜3,000円 | 長尺から見どころを抽出・カット・テロップ |
| YouTube通常編集(未経験〜初級) | 約3,000〜5,000円 | カット・テロップ・BGM・簡単な装飾 |
| YouTube通常編集(中級〜経験者) | 約1万〜3万円 | 上記+アニメーション・SE・サムネイル |
| SNSショート動画 | 約3,000〜1万円 | 縦型・テンポ重視の編集 |
| セミナー・イベント動画 | 約1万〜数万円 | 長尺のカット・整音・簡単なテロップ |
| 企業のPR・VP動画 | 数万〜数十万円 | 構成・高度な編集・モーション |
クラウドソーシングサイトでのYouTube動画編集は、1件3,000〜5,000円あたりが初心者ゾーンの中心です。一方で、フリーランスとして直接受注できるようになると、1本5,000円〜3万円程度まで幅が広がります。企業のPR動画になると、制作会社では編集のみで1本5万〜10万円が現実的な相場とされ、個人でもディレクション込みで受注すれば単価は大きく上がります。
「手数料」で手取りが減る点に注意
相場を見るときに見落としがちなのが、クラウドソーシングのシステム手数料です。プラットフォームによっては報酬から2割ほどが差し引かれるため、「5,000円の案件」でも実際の手取りは4,000円前後になります。表示単価だけで判断せず、手取りベースで考える癖をつけましょう。
受注ルートによっても単価は変わる
同じスキルでも、どのルートで案件を取るかによって手取りは大きく変わります。それぞれの特徴を押さえておきましょう。
- クラウドソーシング:案件数が多く初心者向きですが、競争が激しく単価は低め。手数料も差し引かれます。実績づくりの入口として使うのがおすすめです。
- SNS(X・Instagramなど)経由:発信を続けて信頼を得られれば、手数料なしで直接受注できます。単価も交渉しやすく、継続につながりやすいルートです。
- 直接営業・紹介:もっとも単価を高くしやすいルート。実績が増えてくると、既存クライアントからの紹介で仕事が回り始めます。
最初はクラウドソーシングで実績を積み、慣れてきたらSNSや直接営業へ軸足を移していく——この流れが、手取りを増やす王道です。
スキル・実績別に見た単価のステップ
単価は経験とともに階段状に上がっていきます。自分が今どの段階にいるかを把握すると、次に狙うべき単価が見えてきます。
ステップ1:未経験・実績ゼロ(1本3,000〜5,000円)
最初は実績づくりが目的の時期です。低単価でも数をこなし、ポートフォリオと評価を積み上げます。ここで消耗しすぎないよう、「実績を作る期間」と割り切ることが大切です。
ステップ2:継続案件が取れる(1本5,000〜1万円)
一定の評価がつき、同じクライアントから継続で依頼されるようになる段階です。テロップやBGMの引き出しが増え、修正が少なくなると、単価も自然と上がっていきます。
ステップ3:指名・単価交渉ができる(1本1万〜3万円)
サムネイル制作や構成提案までできるようになると、「あなたにお願いしたい」と指名される立場になります。ここまで来れば、月10万円台〜を狙える現実的なラインです。
月10万円までの現実的なモデルケース
相場と単価アップの考え方を、実際の収入イメージに落とし込んでみましょう。以下は、副業として無理なく続けられる範囲での一例です。
ケース1:単発を数でこなす初期フェーズ
1本4,000円のYouTube編集を月10本 → 月4万円。手数料や作業時間を考えると、この段階はまだ「実績づくり期」です。ここで止まらず、次のステップへ進む意識が大切です。
ケース2:継続案件を2〜3件持つ安定フェーズ
1本8,000円の継続案件を、週2本のペースで月8本 → 月6.4万円。ここにサムネイル制作(1枚1,500円前後)を加えれば、月8万円前後まで見えてきます。継続なので毎回の営業が不要で、時間効率も上がります。
ケース3:単価1万円超の案件を軸にするフェーズ
1本1.2万円の案件を月8〜10本 → 月10〜12万円。ここまで来ると、構成提案や指名依頼が中心になり、単価と効率の両方が安定します。会社員をしながらでも、十分に到達できるラインです。
大切なのは、いきなりケース3を目指すのではなく、1→2→3と段階的に積み上げることです。相場を物差しにしながら、今の自分が次に進むべき方向を選んでいきましょう。
低単価から抜け出す「単価アップの考え方」5つ
相場を知ったら、次は自分の単価をどう引き上げるかです。単価アップは「値上げ交渉」だけの話ではなく、提供価値を増やす発想が重要です。
1. 対応できる工程を増やす
カットだけでなく、テロップ・BGM・SE・サムネイルと、対応範囲を広げるほど1本の単価は上がります。特にサムネイルはクライアントの手間を大きく減らすため、セットで提案すると喜ばれます。「編集だけ」の人と「編集+サムネ+簡単な構成」までできる人では、同じ時間を使っても受け取れる単価がまるで違ってきます。まずは今の自分にプラスできる工程を1つ選び、少しずつ引き出しを増やしていきましょう。
2. 「時間単価」で考える
1本の金額だけでなく、「1本にかかる時間」で割った時間単価を意識しましょう。単価5,000円でも4時間かかれば時給1,250円、単価8,000円で3時間なら時給約2,700円です。作業を効率化して時間を短縮することも、立派な単価アップです。
3. 継続案件を軸にする
毎回新規営業をするより、継続案件を持つほうが収入は安定します。継続クライアントには修正の意図も伝わりやすく、結果的に1本あたりの実労働も減っていきます。単発を追いかけるより、信頼を積んで継続に育てる意識が収入を底上げします。
4. 単価の高いジャンルへ横展開する
YouTube編集で基礎を固めたら、企業案件やセミナー動画など、単価の高い領域に少しずつ広げていきます。二極化が進む市場では、「安い簡易編集」に留まらず、構成やブランディングまで踏み込める編集者ほど単価を維持しやすくなっています。
5. 相場より少し上を提示する勇気を持つ
実績が増えたら、相場の中央値より少し上の単価を提示してみましょう。すべてに受注される必要はありません。適正な単価で発注してくれるクライアントと出会うことが、消耗しない副業を続けるコツです。
単価交渉を切り出すときの3ステップ
「値上げをお願いする」と考えると身構えてしまいますが、実際は下の3ステップで自然に伝えられます。継続案件でタイミングを見て切り出しましょう。
ステップ1:実績と貢献を振り返ってもらう
「いつも継続のご依頼ありがとうございます」と感謝を伝えつつ、これまで納品した本数や、修正が少なく安定して対応できている点をさりげなく共有します。値上げの前提として、提供してきた価値を思い出してもらうのが狙いです。
ステップ2:対応範囲の広がりを添える
「最近はサムネイル制作や構成の提案も対応できるようになりました」と、以前より提供できる価値が増えたことを伝えます。単なる値上げではなく「グレードアップ」として提示すると、相手も納得しやすくなります。
ステップ3:新しい単価を具体的に提案する
「次回から1本◯◯円でお願いできればと思いますが、いかがでしょうか」と、金額と理由をセットで提示します。断られても関係が壊れるわけではありません。応じてもらえない場合は、他の高単価案件へ少しずつ比重を移していけば大丈夫です。
よくある質問(FAQ)
Q. 初心者はどのくらいの単価から始めるべき?
最初は1本3,000〜5,000円程度の案件で実績を積むのが現実的です。ただし「1本500円」など極端に安い案件は、時間単価が下がりすぎて消耗するだけなので避けましょう。実績づくりと割り切れる範囲にとどめるのがコツです。
Q. なかなか単価が上がりません。どうすれば?
低単価の案件を数だけこなしていると、忙しいのに収入が伸びないという状態に陥りがちです。対応できる工程を増やす、継続案件を軸にする、単価の高いジャンルへ広げる——このいずれかに時間を投資することで、状況は変わっていきます。
Q. AIツールが増えて、動画編集は稼げなくなりませんか?
簡易的な編集は低価格化が進む一方で、構成力やブランディングを求める案件はむしろ高単価化しています。市場は二極化しているため、「安く速く」だけでなく「提案できる編集者」を目指すことが、長く稼ぎ続けるための答えになります。
まとめ:相場は「守り」ではなく「攻め」の武器
動画編集の単価は、切り抜きの数千円から企業案件の数十万円まで大きな幅があります。相場を知る目的は、安く買い叩かれないための「守り」だけではありません。今の自分の立ち位置を把握し、次に狙う単価を明確にする「攻め」の武器でもあります。
まずは低単価でも実績を積み、対応工程を広げ、継続案件を軸にしていく。この流れを意識すれば、月収は着実に伸びていきます。焦らず、しかし相場より一歩上を狙う姿勢で、収入アップを目指していきましょう。今日の一歩として、まずは自分が受けている案件の「時間単価」を計算してみることをおすすめします。数字で現状を把握できれば、次に何をすべきかが自然と見えてくるはずです。

